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桔梗鹿々 2026/08/30 公開 2026/08/30 00:00 更新
桜森女子高等学校は、三月末で閉校する。
放送部の二年生・渚は、部長の沙月先輩に頼まれ、閉校式典で流す音源を探すため、倉庫に眠っていた古いカセットテープの山を整理することになった。
その中から見つかったのは、名前も日付もない一本のテープ。
再生すると、四十年近く前の卒業生二人が、屋上で待ち合わせる約束を交わす声が残っていた。
『卒業式のあと、屋上に来られる?』
『待ってる』
――でも、その約束は、果たされなかったらしい。
誰にも聞かせてはいけないと言われたテープ。それでも「続きが気になる」という気持ちを止められず、渚と沙月は、卒業アルバムを頼りに二人の卒業生の行方を探し始める。
過去の「言えなかった声」を追ううちに、渚自身も気づいてしまう。
――もうすぐ卒業して、遠くの大学へ行ってしまう沙月先輩のことを、自分はどう思っているのか。
学校がなくなるまで、あと少し。
言わなければ、消えてしまう言葉がある。
閉校していく学校を舞台に、過去と現在、二つの「待ってる」が重なる。
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