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他力本願寺 2026/07/10 公開 2026/07/17 19:10 更新
「お前は正しすぎる。この家にはいらない」
侯爵家の負債を立て直し、領地を救い、兄が署名しかけた危険な契約の罠まで見抜いた令嬢リディア。
だが、その有能さを父と兄に疎まれ、婚約者からも、
「君は有能すぎる。妻には向かない」
と婚約を破棄され、家を追放されてしまう。
行き先は、王国最北端。
そこを治めるのは、四十を過ぎた傷持ちの元軍参謀、ヴィクトル・ヴァルツァー辺境伯。
彼には奇妙な噂があった。
何人もの令嬢を「花嫁候補」として迎えながら、誰一人として妻にせず、全員を送り返している――と。
ところが、リディアの招請状にはあり得ない一文が記されていた。
『招請者指定候補 リディア・グレイスフォード』
なぜか彼女だけが、辺境伯本人から名指しされていたのだ。
北境へ着いたリディアを待っていたのは、甘い歓迎ではなかった。
「道中の雪解け水はどうだった」
「東の村の煙突の数は?」
「護衛の馬の消耗は?」
顔も持参金も見ず、彼女の実務能力だけを試したヴィクトルは告げる。
「なるほど。君は飾りではないな」
生まれて初めて、自分の能力そのものを認められた。
――その直後。
「だが、君を妻にする気はない」
では、なぜ私を名指ししたのですか?
やがてリディアは知る。
「送り返された花嫁候補」たちは、没落などしていなかった。
商会主。
補給隊長。
学校長。
彼女たちは捨てられたのではない。
北境で実務を学び、資金と推薦状を与えられ、自分自身の人生へ「送り出されて」いたのだ。
そして、ヴィクトルがリディアを呼んだ本当の理由は――。
『単なる救済対象にあらず。採用候補として招請』
可哀想だから救われたのではない。
彼は最初から、リディア・グレイスフォードという人間の能力を必要としていた。
追放された有能令嬢が、帳簿と現場を見る力で北境を救い、自分を捨てた実家を見返していく。
一方、誰よりもリディアを尊重する偏屈辺境伯は、彼女を愛しているからこそ自由にしようとして――。
必要だから残るのではない。
救われた恩があるからでもない。
どこへでも行ける私が、それでもあなたを選びます。
追放ざまぁ×有能ヒロイン×四十代イケオジ辺境伯。
不器用な年の差じれじれ恋愛と、自分の名前で人生を取り戻す女性の物語。
全16話完結。ハッピーエンドです。
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