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須江野モノ 2026/05/03 公開 2026/06/18 17:30 更新
神話の時代の終わり、九十九柱の議定で、たった一柱が反対した。
しかし彼の論証は不完全だった。
だから議は通り、歪みが生まれ、世界は壊れた。
その一柱も殺され、地に堕ちた。
それから長い時が過ぎ、あるとき。
男は妻を斬った。
神に捧げる供物となるのを防ぐべく、彼女自身の願いに従って。
――もう一度、俺は彼女と。もう二度と、俺は彼女を。
深い絶望の中、強く願った瞬間、声と共に目の無い黒い子羊が現れる。
「いいよ。叶えてあげる」
それが善意で無いことは分かっていた。
けれど、男は差し伸べられた手を取り、契約をした。
妻を、ライラを救う為に。
彼女の妹を救う為に。
神を殺す為に。
絶望の旅の果て。
辿り着いた辺境の洞窟で、男はかつて屠られた筈の死神と出会う。
死神は千年待っていた。
完成しなかった論証を、共に完成させる人間を。
そうして幾度ものループの果てに、男と神は世界の根本法則に辿り着く。
――論理的に矛盾する概念は、この世に存在することは決してない。
これは、神を殺す為に歩んだとある騎士と死神の、最後の世界の物語。
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