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雉白書屋 2026/11/02 公開 2026/11/02 11:00 更新
「泥棒!」
その声に、おれは思わず足を止めた。
夜中の帰り道、コンビニの前に差しかかったときだった。背後から突然、女のしわがれた声が突き刺さったのだ。
振り返ると、そこには腰の曲がった小柄な老婆が立っていた。上下ともにくすんだ色合いの服にサンダル履きで、裾から覗く細い足首が小刻みに震えていた。
他の通行人も足を止めて振り返り、コンビニの前でたむろしていた若者たちも会話を中断して、「おっ」と顔を向けていた。
しかし……泥棒とはいったい誰のことだ?
老婆はこちらを睨みつけているが、おれの横を誰かが逃げるように走り去ったわけでもなければ、ひったくりらしいバイクが通り過ぎたわけでもない。
「この、泥棒!」
おれが首をかしげた、そのときだった。老婆は腹の底からひり出すように、そう怒鳴った。
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