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ぽむぽむ 2026/10/30 公開 2026/10/30 11:39 更新
港区高輪の古いマンション「サンライズ高輪」。管理会社に勤める山岸香織は、住民から奇妙な相談を受ける。「空室のはずの204号室から、夜になると女と少女の声が聞こえる」。管理台帳には入居履歴すらない。だがある夜、204号室に明かりが灯っているのを目撃した香織が扉を開けると、そこには2003年の暮らしを続ける母娘の姿があった。そして赤いカーディガンを着た少女・鈴は、初対面の香織をなぜか「香織ちゃん」と呼ぶ。
やがて204号室に入った住人たちは、「人生を選び直す」機会を与えられる。しかし望んだ人生を手に入れる代わりに、その人に最も近い誰かが、この世界から「最初から存在しなかった者」として消えていく。消えた人を覚えている者も次第に減り、写真も記録も、人々の記憶さえ書き換えられていく。
そんな中、香織は幼い自分と鈴が並んで写る古い写真を発見する。さらに204号室の柱には「すず」「かおり」と記された背比べの跡が残されていた。調査を進めるにつれ、23年前、この部屋で母親と双子の少女が暮らし、火災によって母と妹が命を落としていた事実が浮かび上がる。そして生き残った双子の姉こそ、記憶を失い、別の家族の娘として育てられた香織自身だった。
もし、あの日を選び直せば、母も妹も取り戻せる。しかしその代償として、今の自分を形作った大切な人々と人生が消えてしまう。過去を取り戻すのか、それとも喪失を抱えたまま現在を生きるのか。204号室が最後に香織へ突きつけるのは、人生で最も残酷な「選択」だった。
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