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さかもち 2026/10/02 公開 2026/10/09 19:00 更新
武士になれば、もっと格好いい仕事ができると思っていた。
馬に乗るとか。
刀を抜くとか。
敵将と一騎討ちするとか。
なのに今日も、弥太郎は旗を塗っている。
昨日は白。
今日は赤。
そして夕方には、また白。
時は南北朝。
帝は二人。
朝廷も二つ。
昨日の敵が今日は味方で、三日前まで自分を殺そうとしていた男と酒を飲む。
「六郎殿。結局、今日は誰の味方なんです?」
そんな弥太郎の前に現れるのは、
足利尊氏《あしかがたかうじ》
足利直義《あしかがただよし》
楠木正成《くすのきまさしげ》
新田義貞《にったよしさだ》
高師直《こうのもろなお》
足利直冬《あしかがただふゆ》――。
後世に名を残す者たちも、実際に会ってみれば、悩み、迷い、間違え、家族と揉める一人の人間だった。
忠義とは何なのか。
正しいのは誰なのか。
なぜ昨日の味方と今日戦わなければならないのか。
天下の行方なんて分からない。
ただ一つ、弥太郎が毎朝知りたいことがある。
――で、今日は何色の旗を作ればいいんですか?
南北朝から始まる、笑って読めて、気づけば歴史の流れが見えてくる群像歴史コメディ。
英雄たちのすぐ隣で生きた、名もなき者たちの物語。
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