異世界恋愛 短編

「全部ちょうだい」と妹が言うので、全部あげて家を出ました

年商1億 2026/11/07 公開 2026/11/07 21:30 更新

あらすじ

「お姉様のもの、全部ちょうだい」
十八の誕生日の夜会。ヴァイスベルク伯爵家の長女ヘレナの手首に、「家を継ぐ者の誉れ」という銀の印が浮かんだその夜、妹のフローラは皆の前でそう言った。

祖母のリボン。南向きの部屋。形見の懐中時計。婚約者。継承の指輪。
「長女は、家のために我慢するものだ」と言われて育ったヘレナは、ひとつずつ、全部渡していく。

そして最後に、妹は言った。
「お姉様の名前も、ちょうだい」
「……全部、あげるわ。もう、いらない」

鞄ひとつで向かった南の薬草の町で、ヘレナは生まれてはじめて、自分の好きなものを選ぶ。

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