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夜月 真 2023/03/21 公開 2023/05/20 06:00 更新
「なあ、アルビノって知ってる?」
「あー、身体が真っ白なんだっけ?」
「そうそう、最近この辺にアルビノがいるらしいぜ」
「何のアルビノ?」
「それが、わからないんだよ。噂で広まっただけだからそこまでは確認できてないんだ。……もし人間だったら、お前どうする?」
大学の広い講義室で、後ろの席に座る名前も知らない男子ふたりの会話が耳に着く。他人の話を盗み聞きするのは趣味じゃないが、授業を聞くよりかはまだ面白味があった。
バイトは辞めた。辞めさせてもらいます、と突然に僕が言うものだから、店長は酷く驚いていた。辞めた理由は酷く単純で、ただ他人の日用品や食料に音を鳴らしてお金を貰うだけの作業に窮屈さを感じていた。そしてもう一つ、このバイトをしていると目が渇き、痛むのだ。仕事中は忙しいと目薬を注すことができず、耐えるしかない。
週末には眼科に向かい、ドライアイ用の目薬を購入する。この費用だって、意外と嵩んでくる。しばらくの間は、親からの仕送りに頼るしかない。運の良いことに僕は大学デビューに失敗し、友達もいないから人付き合いなどによる出費はなかった。
暇つぶしに始めてみた読書も長くは続かなかった。昔はよく読んでいたのに、いつからか本も苦手になっていた。数日前に本屋で購入した数冊の小説や辞典、自己啓発本は今となってはどこに仕舞ったのかも忘れてしまった。
このまま何の楽しいことも起きず、それなりの成績で、何となく就活をして、卒業式にも出るか悩んだまま大学生活を終えるのだろう。終わりというのは、いつも唐突だとわかっているにも関わらず。
※魔法のiらんど、アルファポリス、エブリスタ、カクヨムにて重複投稿
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