異世界恋愛 完結・全10話

今更、あの時の言葉を取り消すことなどできません。

まるまる 2026/03/04 公開 2026/03/04 12:03 更新

あらすじ

十年間、一度も泣いたことがない。 それが辺境伯夫人カトレアの、たった一つの矜持だった。

初夜に夫から告げられたのは、愛の言葉ではなかった。 お飾りの妻でいろ。 その一言を飲み込んだ日から、彼女は感情を殺した。

誰も教えてくれない帳簿を独学で読み解き、崩壊寸前の兵站を一人で立て直した。 食事は執務机の上で冷めたスープを啜り、寝床は北向きの狭い資料室。 夫が想い人に貢いだ金の出処を、彼女自身が毎月承認印を押して送り出していた。

それでも構わないと思っていた。 愛されない代わりに、領民の命を繋ぐ歯車であり続けることが、自分の存在意義だと信じていたから。

十年目のある夜、夫が突然言った。 これからは君を愛そうと思う。 想い人に捨てられた男の、手のひらを返した甘言だった。

カトレアは微笑んだ。 完璧な、何の感情もない微笑みで。 そして引き出しの奥に手を伸ばした。

そこには十年かけて積み上げた、ある書類の束が眠っている。 彼女はそれを、誰にも気づかれずに準備していた。

王都には、長年にわたり薬用の茶葉を届け続けてくれた一人の医師がいる。 彼が選ぶ缶の色が、なぜかいつも彼女の瞳と同じ色をしていることに、カトレアはまだ気づいていない。

氷の館を出た女が手にしているものは、復讐か、解放か。 その答えは、彼女自身にもわからない。

ポイント

総合ポイント 7,754
日間ポイント 0
日間ランクイン 10
最高順位 45
評価ポイント 6,93689.5% ブクマ×2 81810.5%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

ブクマ
409
感想
3
レビュー
0
評価者数
845
平均評価
8.21
週間読者
109

ブクマと評価ポイントの推移

10/29〜11/04(7日間)
ブクマ 409+0(7日間)
410 409 408 407 10/29 11/01 11/04
評価ポイント 6,936-4(7日間)
6,940 6,935 6,930 10/29 11/01 11/04

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/04 409 ±0 6,936 +6
11/03 409 ±0 6,930 ±0
11/02 409 +1 6,930 ±0
11/01 408 ±0 6,930 ±0
10/31 408 -1 6,930 -10
10/30 409 ±0 6,940 ±0
10/29 409 ±0 6,940 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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