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チェリ〜 2026/04/06 公開 2026/08/28 01:25 更新
人里離れた山奥、狐の耳と尻尾を持つ種族が住む隠れ里。そこでは代々、村長の娘は18歳になると、村の守り神である「鬼」へ生贄として嫁がなければならない掟があった。
美しき村の長の次女・紅葉は、幼い娘・柚子を残して鬼に喰われた姉・深雪の悲劇を胸に、母を亡くした柚子の親代わりとして生きてきた。しかし、ついに彼女自身にも「18歳の夜」という運命の日が訪れてしまう。
婚礼を明日に控えた夜。美しく着飾った紅葉が絶望の中で部屋に佇んでいると、窓から一人の青年が忍び込む。それは、14歳の時に行方不明になった幼馴染の銀助だった。実は銀助は、数年前に人間界(現代日本)へと異世界転移しており、紅葉を救い出すために元の世界へ戻ってきたのだ。
「一緒に行こう、紅葉」
紅葉は、愛する柚子を置いていく葛藤に引き裂かれそうになりながらも、銀助の手を取り、光り輝く「異世界」への扉をくぐり抜ける。
辿り着いた人間界で待っていたのは、銀助が兄貴分と慕う青年、田中爽太。無口だが筋金入りの「狐オタク」である田中は、紅葉が異世界から来た本物の「狐娘」であることを知り、驚きつつも、彼女を温かく、そして興奮しながら、迎え入れた。
鬼も掟もない自由な人間界で、紅葉は銀助と田中が元々やっていた、一台のキッチンカーによる「きつねうどん」の移動販売の『看板娘』を始める。
田中が運転と警護、銀助が仕込みと知識、そして紅葉が看板娘として、甘いお揚げのうどんで人間たちの心を癒やしていくのだ。
それは、愛する柚子をいつか連れ戻すという誓いを胸に、呪われた運命を振り切って本当の自由を掴み取るための、美味しくて切ない逃避行の始まりだった。
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