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秋月 もみじ 2026/01/30 公開 2026/01/30 12:05 更新
私は三年間、誰にも気づかれずに働き続けた。
王太子の予算管理も政策立案も、全て私がやっていた。
でも感謝されるどころか「当たり前」として扱われる。
頑張れば頑張るほど、便利な道具として使い倒される。
卒業式で婚約破棄を宣告された時、私は内心でガッツポーズをしていた。
やっとブラック職場から解放される。
実家を勘当され、向かったのは王都外れの底辺ギルド。
前世で憧れていた受付嬢の仕事だった。
書類の山。
怒号。
血まみれの冒険者。
でもここには、前職にはなかった大切なものがある。
自分で選んだという自由が。
依頼票を整理し、報酬を正確に計算し、理不尽なクレームに丁寧に対応する。
私の小さな改革で、粗野な冒険者たちが少しずつ変わっていく。
特に書類仕事が苦手なBランク剣士は、最初は邪険にしていたのに。
そんな平穏に、元婚約者の王太子が現れた。
君がいないと執務が回らない。
戻ってきてほしい。
王宮からの妨害も始まる。
不正監査、でっち上げの容疑。
それでも冒険者たちは私を守ってくれた。
お前は俺たちの仲間だ。
便利な道具として扱われた過去。
自分の意志で選んだ現在。
王太子妃の座と底辺ギルドの受付嬢。
私を本当に必要としてくれるのは、どちらなのだろう。
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