ヒューマンドラマ 短編

めじるしの鈴 霧尾の根雪――わたしが鳴ったあとを、数えていた人がいました

12時の灰かぶり 2026/10/28 公開 2026/10/28 22:07 更新

あらすじ

語り手は、鞄の持ち手に付いた小さな真鍮の鈴です。目がないので、音だけで世界を見ています。
持ち主の藤谷ちはるさんの鞄には、二年前の三月、霧尾という雪の町で受け取った紙が入っています。番号です、使わなくても大丈夫です、と渡した人は言いました。
この三月、ちはるさんはその紙を返しに、三度目の霧尾へ行きました。電話をかけたら、使ってしまうからだそうです。
わたしが鳴ると、一秒もたたないうちに、いつも何かが割り込みます。九年で八度、そうでした。

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