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桜木ひより 2026/10/16 公開 2026/10/16 18:02 更新
市場で銅貨の手品を見せていた孤児院育ちのリラは、大司教に拾われ、三年前から「聖女」を演じている。奇跡はすべて袖の中の仕掛けだ。
大司教グレゴールは、リラの名を刷った加護札を貧しい人々に売りつけ、子を亡くした母親に「信心が足りなかったのでしょうな」と言い放つ男。婚約者の王太子ジュリアンは、リラを「拾い物」と呼び、触れた手袋を床に捨てる男だ。
その二人が、大祭で読めと命じた神託は「公爵令嬢エリザベートは魔女なり」。王太子の不正を見抜いたせいで狙われた、厳しくて笑わない令嬢エリザベートは、リラの育った孤児院を名乗らずに支え続けてきた人だった。しかも二人は、神託を読ませたあとでリラも孤児院も片づけるつもりでいる。
聖女なんか、辞めてやる。
最初の日から種を見抜きながら、黙って花を拾ってくれていた無愛想な護衛騎士ローランと手を組み、リラは大祭の祭壇で、自分の化けの皮を自分で剥がすと決めた。ついでに、自分を担ぎ上げた二人も道連れにして。
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