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酔狂 2018/05/12 公開 2018/05/12 11:52 更新
九州北部を走る新幹線に一人乗る『俺』は、通路を挟んだ向かいの席に座る、幼い姉妹と両親から成る四人家族に遭遇する。
四人家族の幸せそうな団欒を見た『俺』は、微笑ましく思いつつも、自分がいつしか「他人を信頼する気持ち」を失ってしまったことを思い起こし、悲しい気持ちを抱く。
新幹線がトンネルに入った時、『俺』は反射する窓の中に、四人家族の中の幼い姉が、こちらを見つめ、さらには手を振る様を見出す。
二度目のトンネルでも同じ光景を見た『俺』は、少女が自分に手を振っていたと確信し、さらに、それは悲しい気持ちを抱いていた自分を励ますためではないかと考える。そして、そんな少女を、自らの肉眼で確認しようと思う。
しかし、少女の方を向くことで、不審者扱いされ、傷つけられるのではないかと恐れた『俺』は、結局、少女の方を向けずに終わる。自分の頭で生み出した無垢な少女さえ信頼出来ないこと、そしてその結果として、向かいの四人家族のような幸福を、自分が永遠に手に入れられないであろうことを痛感し、『俺』は絶望する。
新幹線から降りようとした『俺』は、「寂しい人だね」という幼い女の子の声を聞く。誰が言ったのか、また誰に向けられたものなのか、確かめようともせず、『俺』は足早に改札へと向かう。ふと振り向いた時、そこには、空っぽのプラットホームが広がるのみであった。
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