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ふたーなる 2026/10/28 公開 2026/10/28 20:44 更新
「エルネスタ・ヴァルディーヌ! お前との婚約を破棄する!」
王宮の舞踏会で、王太子フェルディナンドから婚約破棄を宣言された侯爵令嬢エルネスタ。
彼女は悲しむどころか、侍女に合図を送った。
運ばれてきたのは、懐中時計にブローチ、手袋に髪飾り――そして、王家の紋章が刻まれた銀食器まで積まれた台車だった。
「こちらは、殿下からお預かりしていた品々でございます。婚約破棄に伴い、返却させていただきます」
「……なぜ、そんなものを持っている?」
「いつか必要になると思いまして」
ところが、返却手続きは一筋縄ではいかなかった。
「こちらの書類は、第二窓口へお願いいたします」
「署名が足りませんので、第三窓口へ」
「その手続きは、第四窓口の管轄でございます」
書類を抱えて王宮中を歩き回る王太子。
一方、エルネスタは婚約者としての役目から解放され、自由な生活を満喫していた。
やがて、彼女が管理していた王太子の衣装や予定表、書類まで返却され、王宮の執務室は大混乱に陥る。
「エルネスタ! 返却物の管理を、もう一度頼めないか!」
「婚約破棄後の業務依頼は、別途契約が必要でございます」
婚約破棄を宣言したはずなのに、なぜか返却物と書類に追い回される王太子。
そして、彼を待ち受ける最後の窓口とは――。
**婚約破棄の手続きは、まだ始まってすらいなかった。**
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