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モリタ・ハク 2026/10/28 公開 2026/10/31 19:00 更新
塔の各階には、掟が一つだけある。
掟はどこにも書かれていない。破った者はその階に「残され」、持ち物だけが落ちる。
案内人のセンは十七歳。一階から三十階までの掟をぜんぶ覚えていて、四百十二回、一人の客も残さずに上まで案内してきた。剣は振れない。体力も並。
三十階の踊り場で、雇い主に告げられた。
「地図の無い階に、案内人は要らない」
その踊り場で、女の子が眠っていた。
首には、七年前に塔で消えた兄ジンの札。
目を開けたイルマは、自分の名前と「上に帰らなきゃ」しか覚えていなかった。そして、センを片手で持ち上げた。
三十一階から先へ行って、戻ってきた者はいない。だから掟を、誰も知らない。
掟を見抜くのは、最弱の案内人。押し切るのは、怪力の女の子。
兄のいる五十八階まで、一階ずつ登っていく。
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