ヒューマンドラマ 短編

 「もう長くない」と夫に告げたのに、「冗談はやめろ」と言われた。彼は初恋の女の傷を手当てするのに必死だった

熾星 2026/09/28 公開 2026/09/28 16:00 更新

あらすじ

篠原真帆が日本を離れてから、私はようやく御堂恭平に想いを伝えた。

 あの日の恭平は少し酔っていて、大学の部室棟の外にある手すりにもたれていた。夜風にシャツの裾を揺らす彼の前で、私は汗ばんだ手を握りしめていた。また断られるつもりでいた。

 けれど、恭平はしばらく私を見たあと、ふっと笑った。

「若いんだし、ちょっとくらい勢いで付き合ってみてもいいだろ」

 私はその言葉を、十年間ずっと覚えていた。

 そして真帆が帰ってきた。

 友人たちとの集まりで、真帆がゲームに負けた。罰ゲームは、その場にいる異性の誰かとキスをすることだった。誰かが面白がって、結婚したときは何があっても澄花を優先すると言っていなかったか、と恭平をからかった。

 恭平は真帆の肩を抱き、私が久しく見ていなかった顔で笑った。

「若いときの勢いで言ったことを、いつまでも本気にするなよ」

 電話越しにその声を聞いた瞬間、十年前の夜を思い出した。

 あのとき私を救ってくれた言葉を、恭平自身が軽く手放していく。

 私は携帯を握ったまま、何も言えなかった。

 もう私も、本気にしなくていいのかもしれない。

ポイント

総合ポイント 846
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 78292.4% ブクマ×2 647.6%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

ブクマ
32
感想
1
レビュー
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95
平均評価
8.23
週間読者
522

ブクマと評価ポイントの推移

10/28〜11/03(7日間)
ブクマ 32+1(7日間)
33 32 31 30 10/28 10/31 11/03
評価ポイント 782+28(7日間)
780 770 10/28 10/31 11/03

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/03 32 ±0 782 ±0
11/02 32 ±0 782 ±0
11/01 32 ±0 782 +10
10/31 32 ±0 772 ±0
10/30 32 +1 772 ±0
10/29 31 ±0 772 +8
10/28 31 ±0 764 +10

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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