異世界恋愛 短編

春になると旦那様は私を忘れるので、今年も一から恋をしてもらいます

年商1億 2026/11/08 公開 2026/11/08 09:00 更新

あらすじ

「……失礼。あなたは、どなたですか」
春分の朝、公爵レイモンドは、向かいの席の妻にそう尋ねた。

旦那様は、呪いのせいで、毎年春分の朝に"愛する人"のことだけを忘れてしまう。
妻のノエミは、一年かけて練習した笑顔で答える。「三度目の、はじめまして、ですわ」

記憶はない。それなのに、旦那様の手は、なぜか今年も彼女の紅茶を先に注いでいた。
雷の夜には、知らないはずの愛称を口にして、彼女の手を握っていた。

そして、懐中時計の鎖についた、何の鍵か分からない小さな鍵。
机の奥の箱には、旦那様の字で書かれた手紙が二通――宛名は『来年の私へ』。

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