異世界恋愛 短編

「君は分かってくれるよね」と言われたので、今年の署名はしないことにしました

パリトン 2026/11/07 公開 2026/11/07 09:01 更新

あらすじ

婚約は毎年、両家の前で更新書に署名して続くもの。刻限までに双方の署名がそろわなければ、婚約は満了する。子爵令嬢セシリアは三年、その署名を一人で待ってきた。今年の更新の宴、婚約者のユーリウスは幼馴染のデビュタントを優先し、署名の時刻に姿を見せない。「君は分かってくれるよね」。その言葉を信じて先に署名し、待ち続けるのは、もう終わりにする。今年、彼女はペンを取らなかった。日の入りの鐘が鳴るまで、彼女の署名欄は空いたままだった。後日、次は必ず時刻どおりに来ると約束する彼に、彼女は静かに告げる。それは、あの夜にこそ欲しかった言葉だと。そして翌年の宴、彼女の隣で署名するのは、必ず彼女の意思を聞いてから決める人だった。

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