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つむぎ 2025/06/17 公開 2025/06/17 02:56 更新
「へっへっへ。嬢ちゃん、これ、どうだい?」
学校帰りの夕暮れ時。駅前の広場でぼーっとしていたわたしの目の前に、ぬっと怪しい影が差した。顔を上げると、皺くちゃの笑顔を浮かべたおじさんが、金色のカセットみたいなものを掲げている。夕日を反射して、きらきらと、いや、ギラギラと怪しく輝いていた。
「……なんですか、これ」
「名前はね、『君が世の中』。この世界でいちばん面白いゲームだよォ~」
君が世の中。変な名前。
胡散臭さしかない。でも、その金色はなぜか目を引いた。レトロゲーム? 最新のデバイス? よくわからないけど、胸の奥で「面白そう」という好奇心がむくむくと顔を出す。
「やってみたい……かも……」
思わず手を伸ばしかけた、その時。
「でも、家にゲーム機とかないとできないですよね?」
至極まっとうな質問をすると、おじさんは歯を見せてニヤリと笑った。
「今ここでできるよォ!!! それっ!」
「え?」
次の瞬間、おじさんの指が、わたしの額に「どんっ!」と触れた。
世界が、ぐるんと反転した。
足元がふわっと浮いて、体が軽くなる。目をつむっていないのに、視界が真っ白に染まり、耳鳴りがキーンと響く。ジェットコースターとも違う、奇妙な浮遊感。
気がつくと、わたしは見たこともない不思議な世界に立っていた。
そして、目の前にはゲームのようなテロップが浮かんでいる。
――『ようこそ、お金がすべての世界へ』――
どうやらわたしは、本当にゲームの世界に来てしまったらしい。
元の世界に帰る方法は、わからない。
でも、なぜだろう。不思議と、絶望はなかった。
むしろ、退屈だった日常から解放されて、心のどこかがワクワクしているのを感じる。
ここが、わたしの本当の居場所なのかもしれない。
わたしは、ちっぽけな武器を手に、一歩を踏み出す。
お金と力に支配された世界で、心優しいAIや、もふもふで可愛い謎の生物、そしてたくさんの仲間たちと出会い、やがてこの世界の残酷な真実に迫っていく。
これは、わたしが本当の「わたし」を見つけるための、壮大な冒険の物語。
さあ、いこう。
わたしの、「君が世の中」へ。
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