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東曌 2026/10/18 公開 2026/10/19 00:24 更新
天正十四年(一五八六)。
尾張の田舎に生まれ、夫を持ち、一人の女性として人生を歩んできた旭姫は、四十四歳(数え年)にして、徳川家康のもとへ嫁ぐことになった。
兄は、関白・豊臣秀吉。
天下統一を目指す秀吉にとって、家康との関係を変えることは避けて通れない課題だった。武力だけでは容易に従わせられない徳川家を取り込むため、秀吉は妹を家康の妻として送り出す。
それは、天下を動かすための政略だった。
だが、政治の記録に残る「婚姻」という一語の向こう側には、それまでの暮らしを離れ、故郷を遠く離れて生きることになった一人の女性がいた。
旭姫は何を思い、何を胸に秘め、駿河御前としての日々を生きたのか。
兄・秀吉の栄光。夫・家康の野望。そして、彼女自身の人生。
やがて秀吉の天下は終わり、家康は征夷大将軍となる。しかし、旭姫はその時代の到来を見届けることなく、この世を去る。
歴史は、天下人の名を記す。
けれど、天下人たちの決断によって人生を変えられた人々の思いまで、すべて記録しているわけではない。
これは、豊臣秀吉の妹であり、徳川家康の妻(継室)となった女性――旭姫の生涯を描く歴史小説である。
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