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巫部朱莉 2025/05/23 公開 2025/06/23 10:53 更新
陽国禁軍将軍、虎梁(ふーりゃん)は憂いていた。
彼女の正体は、陽に滅ぼされた渓国の王位継承者の姫・月潤(ゆえるん)だった。渓国の王族に連なるものは皆、水を操る術を身に着けていた。中でも王はあらゆる液体を操ることができ、更に国宝の笛、翔霞(しゃんしゃ)を用いて希少な宝石、月雫石(げつだせき)を生み出すことができた。その月雫石(げつだせき)を狙った隣国の陽により渓は攻め滅ぼされた。祖国の仇討ちのため、国の再興のため、月潤(ゆえるん)は生き残った同胞たちの思いを一身に背負い、身分を偽り、名を変え、陽国の軍に入り将軍にまで上り詰めた。
仇敵の王、武戴(うーだい)を討つため一心不乱に階級を上げてきたが、位が上がるにつれて武戴(うーだい)と接することが増え、聞かされてきた祖国の仇の姿と、実際の王の為人(ひととなり)の乖離に苦しむ。本当にこの人物が、渓を身勝手な理由で滅ぼした張本人なのか分からなくなり、仇討ちを躊躇うようになっていた。そしてそんな自分に、一族再興の思いが重たい枷となって圧し掛かっていた。
果たして虎梁(ふーりゃん)は王を斃し、故国を再興できるのか。月の名を抱く彼女の運命やいかに。
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