空想科学 連載中・全67話

塵灰のリハイブ

道安 敦己 2023/06/26 公開 2026/09/29 16:00 更新

あらすじ

 頽廃の時代、世界中を席巻した人間性放棄運動(リナウンス)によって、人類は自らの文化と文明を粉々に破壊した。

 凋落する人類と対照的に、彼らの子たる科学技術は飛躍的な発展を遂げる。万能物質「血の瀝青」の発見と二つの偉大な創造物――生成装置「ビット」と機械人類「フーマニット」がそれだ。二つの新しい力を擁し、ワァルドステイト(W.S.)は自滅にひた走る人類を救うべく活動する。人類の自認識を揺るがす新たな混迷の時代の到来だ。

 W.S.の本部と大洋を挟んで反対側に位置する「学府」は、頽廃の時代を辛くも耐えた唯一の共同体だ。前時代の遺産を多く守り切ったこの地は、人類の精神的支柱として無二の価値を放つ。W.S.に敗れ、瓦解してなお抵抗を続ける旧「人類同盟」陣営にとっても、人類の庇護者の地位を確立したいW.S.にとっても学府は戦略的に大きな意味を持っている。

 その学府にかつて人類同盟が開発し、今はW.S.が根絶を進める生成装置「コア」が持ち込まれた。ビットと同様、人体に埋め込むことで血の瀝青を生成するが、接種者に深刻な悪影響を及ぼす危険な装置だ。

 学府中央の西に隣する都市「北條家領」――貴族の闘争による混乱冷めやらぬこの都市で巨大な思惑が始まろうとしていた。

 開道炯はビットによって血の瀝青を生成し、使用することのできる「覚醒者」だ。彼は一人の女を追っていた。コアを宿し、これを流通させる「媒介者」と呼ばれる人物だ。血の瀝青の生成量と出力において、コアはビットを圧倒している。一人では到底太刀打ちできない相手を彼が追う理由は彼女との間にある因縁だ。

 そんな彼にW.Sの学府支所、所長のジャヌアリィがある提案を持ち掛ける。提案の中身――コア破壊の任務を帯びて学府に不法に潜入したフーマニット、ルーチェ・グラックス・ウェールスと共に、開道炯は「白の媒介者」に挑む。

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