純文学 短編

百年後の運動会

VINCUS 2026/10/28 公開 2026/10/28 15:19 更新

あらすじ

今年度で閉校する小さな学校。児童は陸、紬、悠の三人だけ。卒業生でもある教師は、最後の運動会を昔と同じように開こうとするが、限られた時間と人手では、これまでの競技をすべて実施することはできない。

正式な走行記録を残したい陸。三人だからこそできる競技を考えた紬。学校で過ごす最後の日々を写真に収めたい悠。それぞれの願いは譲れず、教師は三人の希望を聞きながら、競技を減らし、進行表を書き直していく。

迎えた運動会。陸は記録を手にし、紬の考えた競技も形を変えながら実現する。悠は校舎や校庭、仲間たちの姿を撮影していく。それでも、望んだものがすべて残るわけではない。

白線を消し、使い古した道具を倉庫へ戻す教師。学校の引き渡しが迫るなか、最後の運動会は、過去と同じ形では続けられないことを静かに告げる。

受け継ぐとは、かつての形をそのまま残すことなのか。それとも、失われていくものを見届け、それぞれの手で次へ持っていくことなのか。閉校を前にした一日を通して、記憶と記録、そして別れの意味を描く短編小説。

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