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月雅 2026/04/05 公開 2026/04/05 20:04 更新
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した公爵令嬢ヴィオレッタ。前世は日本のイラストレーター。予定通り婚約破棄され、辺境の街で画材屋を営みつつ風景画を描いて暮らしていた。
ところが、かつての断罪の場を目撃していた宮廷画家が、あの夜を劇的に脚色した大作を発表。「涙の令嬢と冷酷な王子」として国中で大流行し、世論が一変する。悪役令嬢は実は被害者だったのではないか——王太子への批判が噴出し始めた。
元婚約者は評判回復のため絵の買い占めに奔走するが、すでに手遅れ。ヴィオレッタの風景画も評判を呼び、辺境に画廊が生まれ、芸術と交易の街として発展していく。
そこへ隣国の美術商を名乗る青年ルイスが買い付けに現れる。だが彼は絵の前で足を止める時間が長すぎる。
「……この光の描き方を、子供の頃に見たことがある」
戦災孤児だったルイスが瓦礫の中から拾い、唯一持ち続けていた一枚の作者不明の風景画。その小さな油彩に描かれていた光と同じ技法を、ヴィオレッタの絵の中に見出してしまった。正体を隠し、ただ隣で絵を見ていたいと願う彼の本当の身分は、隣国の王家に連なる者。
画廊事業の拡大と社会的立場を固めるため、二人は契約結婚という形を取ることに。「あくまで事業上の契約だ」と言い張るルイスだが、ヴィオレッタが夜遅くまで絵を描いて寝落ちすると黙って自分の外套をかけ、好きな画材を完璧に覚え、王太子の侍従官が買い占めに来れば普段の温厚さが嘘のような冷厳さで法を盾に門前払いしている。
……それ、契約の範囲を大幅に超えてますよね?
ヴィオレッタは恋より絵を選ぶつもりでいる。ルイスは過去の恩を返したいだけだと自分に言い聞かせている。それなのに、二人の距離はキャンバスを挟むたびに縮まっていく。
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