ハイファンタジー 完結・全64話

婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!

山田 バルス 2025/06/02 公開 2025/08/07 12:30 更新

あらすじ

 【カクヨムさん・アルファポリスさんでも掲載中】この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
 薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
 かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
 夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
 それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
 声が震える。けれど、涙は流さなかった。
 屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
 いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
 そう、小さく、けれど確かに誓った。

ポイント

総合ポイント 1,330
日間ポイント 0
日間ランクイン 2
最高順位 233
評価ポイント 1,02877.3% ブクマ×2 30222.7%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

ブクマ
151
感想
3
レビュー
0
評価者数
145
平均評価
7.09
週間読者
121

ブクマと評価ポイントの推移

10/30〜11/05(7日間)
ブクマ 151+0(7日間)
152 151 150 10/30 11/02 11/05
評価ポイント 1,028+0(7日間)
1,029 1,028 1,027 10/30 11/02 11/05

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/05 151 ±0 1,028 ±0
11/04 151 ±0 1,028 ±0
11/03 151 ±0 1,028 ±0
11/02 151 ±0 1,028 ±0
11/01 151 ±0 1,028 ±0
10/31 151 ±0 1,028 ±0
10/30 151 ±0 1,028 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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