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平木明日香 2026/03/12 公開 2026/03/13 21:58 更新
この世界では、人は生まれながらにして一つの能力――通称《ナンバー》を授かる。
炎を操る者。雷を落とす者。魔物を斬り伏せる剣技。
その力を持つ者たちは冒険者となり、名声と富を手にしていく。
だが――
主人公レインが授かった能力は、
No.87《みやぶる》。
相手の状態や情報を“見抜く”だけの、地味すぎる能力だった。
攻撃力は上がらない。
防御力も上がらない。
戦闘を有利にする強化能力もない。
ただ――わかるだけ。
「そんなスキル、戦闘じゃ役に立たないだろ」
そう言われ、所属していた冒険者パーティーを追放されたレインは、行き場を失う。
仕方なく、街外れの小さな酒場でバイトとして働き始めることになった。
――のだが。
酒場で働くうちに、レインは気づく。
《みやぶる》は、戦闘では役に立たないが――
“人間”にはとんでもなく役に立つということに。
常連客の好みが一目でわかる。
嘘をつく人間の本音も見抜ける。
トラブルの原因や人間関係の裏事情も、全部見えてしまう。
喧嘩寸前の冒険者たちを仲裁し、
悩みを抱えた客の相談に乗り、
困っている人間をさりげなく助けていく。
するといつの間にか――
「レインのいる店に行けば、なんとかなる」
そんな噂が広まり、酒場には様々な客が集まり始めた。
腕利きの冒険者。
訳ありの魔術師。
街を治める貴族。
さらには、身分を隠した王女まで。
人の本音が見える青年の酒場は、
いつしか街の情報と人情が集まる場所になっていく。
そして気づけば――
追放されたはずの魔法劣等生は、
誰よりも人に慕われる“酒場のマスター”になっていた。
これは、
「みやぶる」しか取り柄のなかった男が、
人の心を見抜き、人の縁を繋ぎ、
やがて街一番の酒場を築き上げていく物語。
――役に立たないと言われたスキルは、
実は人を救うための力だった。
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