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月宮 かすみ(書籍化企画進行中) 2026/07/01 公開 2026/07/01 18:03 更新
「お嬢様が勇者パーティーを追放されたですって!?」
王命を受けて魔王討伐へ向かう勇者パーティー。
その補佐役として同行していた公爵令嬢エレノアは、ある日突然、勇者アレクから追放を告げられる。
理由は、戦えない者は足手まといだから。
通行許可証の確認。
聖水の管理。
食料の計算。
神殿への祝福申請。
領主への報告書。
負傷者が出た場合の搬送手配。
それらすべてをエレノアが整えていたことにも気づかず、勇者たちは彼女を追い出してしまう。
その報告を聞いた公爵家侍女マリベルは、静かに外套の留め紐を引きちぎった。
「ぶっ殺してやりますわああああああああああああああああ!」
黒塗りの鉄扇を手に、魔境入口の宿場町へ向かうマリベル。
一方その頃、勇者パーティーは早くも詰んでいた。
通行許可証はない。
聖水は濁っている。
食料は足りない。
地図は読めない。
神殿の祝福も、エレノアを足手まといと呼んだせいで聖女リリアーナに拒否される。
そこへ現れたのは、騎士団と王城と大神殿を正座させた、ただの侍女であった。
剣士は正座。
魔法使いも正座。
弓使いは自主的に正座。
神官も正座。
聖剣を落とした勇者も、もちろん正座。
「支える仕事を足手まといと呼んだ方々ですので」
マリベルは美しく微笑む。
「まずは布巾の絞り方から学んでいただきます」
これは、勇者を倒す話ではない。
勇者に机を拭かせる話である。
武器は忠誠心。
防具はエプロン。
必殺技は、完璧な礼儀作法。
お嬢様を追放した勇者様方。
ただの侍女が、支える仕事の尊さを叩き込ませていただきます。
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