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鷹居鈴野 2026/05/09 公開 2026/07/12 18:06 更新
「番だ。私の番だ。間違いない」
五十年に一度、獣人が匂いだけで「運命の番」を選び、人間を連れ去っていく夜。王立病院の医師アイリス・フォッセルは、火竜族の第一王子ヴェルグリムに選ばれた。絹も宝石も望むものは何でも与えられたが、外へ出る自由だけはなかった——彼は、それを「愛」と呼んだ。
けれど人間に、番の本能はない。だからアイリスには、愛さない自由があった。
医師である彼女は、逃げるかわりに薬を作った。獣人の番の本能そのものを断つ「番解きの薬」。彼にそれを飲ませ、彼の心から自分を消して、獣国を出た。
三年後、北の港町の夜間救急に運ばれてきたのは、深い刺し傷を負った、角も鱗も爪もない、ただの人間の男。顔は知らない——なのに、骨が覚えていた。「あなたが誰か分からないのに、ぼくは、あなたを傷つけた気がする」。記憶も竜の火も、王位も名前さえも棄てて、彼はただの人間として、彼女の前に立っていた。
番を棄てて逃げた女医と、すべてを棄てた元・火竜王子の、まさかの再会溺愛譚。支配するための「愛」には、決別を。番ではなく人として選び直す恋には、まっすぐな溺愛を。
◆全34話・完結済み。最後まで一気に読めます◆
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