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香樹 詩 2026/01/12 公開 2026/08/21 20:00 更新
「其方が教えてくれた、妾の心。――この世界は、妾そのものなのじゃ」
神は神の祈りから生まれる。ゆえに、世界はその神の「写し鏡」となる。
美しき女神ディセルネが創りあげた人間界〈ベネディグティオ〉。
そこは、創造主である彼女に似て、どこまでも傲慢で、損得勘定に満ちた、**美しくも無機質な「器」**だった。
ある事件を機に、天界から追放されたディセルネ。
神の力も、誰をも跪かせた美貌も、すべてを失い、幼い子どもの姿で放り出された先は――自らが創った**「心を持たぬ自分の写し鏡」**の中だった。
隣にいるのは、一匹の神獣ヤーナと、この無機質な世界には異質なほど温かな青年シェリール。
彼らとのふれあいの中で、ディセルネの胸の奥で、名もなき「痛み」が疼き始める。
「なぜ、今まで気がつかんじゃったのか。妾は今になって、ここが苦しゅうなっとる」
それは、数百年もの間、彼女が置き去りにしてきた「ある愛」の記憶。
欠落していた心のカケラが、初めて大粒の涙となって溢れ出すとき、止まっていた彼女の時間が動き出す。
自らが創り、そして自らを知るための旅。
これは、孤独な誰かの隣に、そっと寄り添おうとする意志が紡ぐ、痛くて、やさしい、再生の物語。
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