ノンジャンル 短編

walpurgis

ろくろき 2015/05/14 公開 2015/05/14 06:04 更新

あらすじ

もう終わった話ではあるが、映子と樹里亜にはそれぞれの形で混野との間に私生活上の関係をとりむすんでいた時期があった。そのころ混野の気性はいまよりも荒く、なにものかに追われているかのような深刻さがたえず表情のなかにあり、神経過敏にしておよそ心安まる暇などないといった具合のものだったのだけれど、よくこのような人間のみが放つような独特の香気に彼もまたみちていて、おそろしいがゆえになにか人の心を痲酔させるようなところがあったのである。かれらはともに愛し合い、またそれ以上に烈しく憎み合っていた。――それらは終わった。彼は樹里亜との疑似相互所有契約において観念的な合一を志向しながらも、その余剰物であるところの肉体的奔逸を映子の身体に向けていたことについて、そうするしかなかったと後に語った。
 嵐のような烈しさが過ぎ去り、日々が平穏をとりもどしていくころになると、森のひきだしの奥深くにしまわれている湖のさざなみにも等しくなったかれらの関係性には「元」という接頭辞がもたらされた、それはかれら自身の外から降ってきて付け加わる一種の前科であり、不本意とするところといえども、そういう烙印が世間に存在するかぎり、かれらもそれについて無自覚であるわけにはいかなかった、その様子はどこかパントマイム役者にも似ていて、実体をもたない関係について芝居のようなものを演じなければならないのだが、実体をもたないがゆえに、おのおの喜劇と化してしまうのである。以前の楚々とした自己像にますます固執するようになった樹里亜は、彼女とは逆に、もはや存在理由のなくなった演劇部をみずから性的混乱に陥れて潰そうとした映子のことを憂えていた。だが映子は映子で、樹里亜がちゃっかり中世の修道女のまねごとのようなことをしているのを見抜いている。そして混野は彼女たちがつくりだすとともにそこへ落ちてゆくところの空洞そのものだった。それは充分な後処理のされなかった火鉢にも似て、消し炭がなお底のほうでしずかな熱をもっている。
(「frozen chameleon in the love」パラレルワールド後日譚かつ、独立した短編)

ポイント

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10/28〜11/03(7日間)
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1 0 10/28 10/31 11/03
評価ポイント 2+0(7日間)
3 2 1 10/28 10/31 11/03

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/03 0 ±0 2 ±0
11/02 0 ±0 2 ±0
11/01 0 ±0 2 ±0
10/31 0 ±0 2 ±0
10/30 0 ±0 2 ±0
10/29 0 ±0 2 ±0
10/28 0 ±0 2 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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