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える・あーる 2026/03/06 公開 2026/04/08 18:00 更新
チートで無双した転生者が「飽きた」と言って去った後の公爵領は、地獄だった。
排水溝は詰まり、噴水は止まり、畑は焼け、税は二重取り。住民台帳すらない。
三万人いた領民は五千人に激減し、残されたのは十三歳の少女領主と、「何をしても無駄だ」と目から光が消えた住民たち。
──これ、魔王よりタチ悪いだろ。
そこに送り込まれたのは、チートなしの「凡人枠」転生者。前世は民間企業十二年、地方公務員二十年──社会の裏側を三十二年間支えてきた男。
剣も魔法も使えない。だが「住民台帳の整備」「排水溝の清掃計画」「税の公平化」「複式簿記による監査」「予算案の策定」なら、前世で三十二年やってきた。
泣きそうな少女領主に行政を教え、疲れた住民に「当たり前の暮らし」を取り戻し、帰ってきた元チート転生者に「居場所」を作る。
台帳とペンと日報だけを武器に、誰にも注目されない「普通の仕事」で、ぶっ壊された領地を立て直す──全三十九話の領地再建記。
チートで壊した世界は、チートでは直せない。
必要なのは──地味で、退屈で、誰も褒めてくれない「行政」だった。
「当たり前」の反対は、「有り難い」。
この物語は、その意味を知る物語。
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