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白黒 シろ 2025/09/13 公開 2026/09/24 18:00 更新
気づけば、天城弥羽(あまぎ・みはね)は見知らぬ森に立っていた。
手元にあるのは、買い物帰りのエコバッグひとつ。
元の世界へ帰る方法も、この世界で生きる術も分からない。
ただ、帰らなければならなかった。
向こうには、彼を待っている人がいる。
兎の怪物に追い詰められたその瞬間、弥羽の掌に白い欠片が現れた。
傷を塞ぎ、自らの骨と肉体を作り変える、未知の力。
初めは、生き延びるために。
やがて、傷ついた誰かを救うために。
旅を重ねるほど、その力は新たな使い道を見せ、人の身体そのものへ深く触れていく。
王都で起こる奇妙な事件。
冒険者や魔術師、双子の聖女との出会い。
魔物の棲む迷宮と、かつて異世界へ渡った《稀人》たちの遺産。
帰る手がかりを求めて歩く中、弥羽は人を救い、時に傷つけ、自らの力が何であるのかを知っていく。
その力は、失われたものを取り戻す奇跡なのか。
それとも、人の形を勝手に書き換える冒涜なのか。
死闘の果て、ある男は弥羽を《人間師》と呼んだ。
人間を創り変え、いつか死さえ克服し得る――神の領域を犯す者として。
弥羽は、その名を拒んだ。
だが、やがてその名は彼の意思を離れ、救いを求める者の祈りとなり、彼を畏れる者の囁きとなって世界へ広がっていく。
これは、帰るべき場所を求める一人の青年が、傷だらけの世界を歩いていく物語。
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