歴史 完結・全12話

加上説 ー富永仲基の生涯ー

宇山 了 2026/04/05 公開 2026/04/16 05:06 更新

あらすじ

 本作品は、江戸時代の漢学者、仏教学者、富永仲基の生涯をたどった一代記である。
 江戸時代中期、大坂船場で漢学塾、懐徳堂が創設された。創設者の一人で、漬物と醤油製造業を営む富永芳春の三男、富永仲基は博覧強記の俊才であった。だが、生来蒲柳の体質で病気がちであり、かつ家業を継いだ異母兄との不和に悩みながら学問に打ち込んだ。
 十六歳のとき、初めての論文を著して父や師匠を驚かせると、やがて儒教、仏教、神道などの宗教は、後代の学説が先代の学説を凌駕するために新解釈を加えていくという「加上説」を唱えるに至る。仲基の学説は「出定後語」や「翁の文」などの画期的な著作物に表されている。
 ところが、仲基の体質は長寿を許さず、しかも晩年に襲った不幸な出来事も重なり、わずか三十二歳で病没する。生前に構想していた、加上説を敷衍した通史の執筆はついに実現できなかった……。
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