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只野屍 2026/08/11 公開 2026/10/28 19:00 更新
人類が住めなくなった地球を捨て、新天地を求めて恒星間移民船は旅立った。
重力を操り、ナノマシンで物質を作り変え、遺伝子から新たな生命すら生み出せる時代。
航行中のトラブルにより予定していた惑星を通過してしまう。
新たな移住先を探し出し、十二万人を眠らせたまま再び長い航海へと旅立った。
やがて辿り着いた新天地。
そこは人類がそのまま暮らせる星ではなかった。
長い長いテラフォーミングが始まる。
――そして、数千年後。
森にはエルフの国があった。
空にはドラゴンが舞い、草原をユニコーンが駆け、角を生やしたウサギが跳ね、森の片隅ではスライムが這っている。
人類が眠っている間に、そこには歴史が生まれ、国家が生まれ、宗教が生まれ――いつの間にか、どう見ても「ファンタジー世界」が出来上がっていた。
だが、魔法も、魔物も、エルフも、神話さえも。
その始まりを辿れば、すべては人類が残した科学へと行き着く。
そして長い眠りを終えた本来の移住者たちが、ついに地上へ降り立つ。
彼らを待っていたのは、まっさらな新天地などではなかった。
すでにそこを故郷として、数千年を生きてきた者たちの世界だった。
これは異世界へ転生する物語ではない。
人類が科学で作ってしまった「異世界」に、数千年遅れて人類自身がやって来る物語である。
【挿絵有り】
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