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Fille 2026/11/06 公開 2026/11/06 16:57 更新
三百年、策略で大陸を支配した魔王ゼルギウスは、最後に勇者と盤上の一局を指し、盤の隅に置かれた小さな一手に敗れて死んだ。
目覚めた先は現代日本。体の主は、プロ棋士を目指す奨励会三段・桐生湊、二十五歳。年齢制限のかかる最後の三段リーグの最中に過労で倒れ、心の奥で眠り続けている。昇段に必要なのは、残り八局でほぼ全勝。
駒の動かし方も知らない魔王は、幼なじみの女流棋士ひよりに一から将棋を学び、湊が遺した三百冊の研究ノートを読み込んで、飛車も角も捨てる苛烈な攻めで勝ち星を重ねる。人々は彼を「魔王」と呼んだ。だが師匠は告げる。「君の将棋は、相手と話をしていない」。
受けしかできなかった湊と、攻めしか知らない魔王。最終局の相手は、異世界から帰還した勇者――かつて湊に将棋を教わった十六歳の天才、天野光だった。
一人の体に宿った二人が、盤を挟んで初めて「対話」を覚える、将棋ファンタジー。
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