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ハイズ 2025/12/10 公開 2026/02/24 10:00 更新
現代日本。
とある学府の理Ⅲ在学中に司法試験に合格し、そのまま医師国家試験も通った変人・綾坂菖蒲は、大学病院で研修医として働いていた。
二十何時間ぶっ続けの勤務明け、疲労と脱水の極致で「激辛麺」をすすっていた彼女は、胸の激痛とともにあっけなく意識を失う。
――次に目を覚ました場所は、畳と障子のある、小さな寝所。
そこは明治三十四年の宮中。
彼女の新しい名前は、直宮燈子内親王。
病院の廊下を走っていた研修医は、「大正天皇の長女」「昭和天皇の姉」として生まれ直していた。
転生に気づいた燈子の頭には、
「これから百年先の、表向きは平和な世界、そしてそこに至るまで血みどろの歴史を歩んだ日本」の記憶がある。
日露戦争
第一次世界大戦
世界恐慌
そして、太平洋戦争
三百十万柱の戦没者
本土空襲で焼かれる街々
原子爆弾が都市の上で炸裂する現実
医師としてトリアージを学んだ彼女は、頭の中で即座に「歴史のカルテ」を引き直す。
全部は救えない。
でも、“減らす”ことはできるはずだ。
燈子が自分に課した目標は三つ。
あの戦争における日本人の死者三百十万を、可能な限り削ること
あの爆弾を、日本の都市の上でだけは炸裂させないこと
日本の街を、「焼き払う」という戦い方から守ること
それは、個々の命ではなく「大日本帝国という一人の患者」に対する、巨大なトリアージだった。
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