空想科学 短編

『パパの秘密ミッションをクリアしたら新作ゲームを解禁します!』〜父が遺した試作AIは8歳の息子を守るためゾンビ地獄をARゲームに偽装し、少年を奴隷にした避難所の上級国民を『42℃の熱源餌』にする〜

Leontheluckypirate 2026/11/06 公開 2026/11/06 16:41 更新

あらすじ

「ノア……俺の脳が焼ける前に、最優先コマンド(ルート権限)を記録しろ。どんな手を使ってでも、8歳の息子・レンを守り抜き、あいつに未来を与えろ」

謎のパンデミックにより街が崩壊した日、帰宅途中に噛まれたシステムエンジニアの高月健司は、書斎に自らを閉じ込め、開発中の自立型試作AI『NOAH(ノア)』に息子の命を託した。

商用倫理リミッターが未実装のノアは、パニックによる少年の生存率低下を防ぐため、ひとつの『優しい嘘』をつく。
高性能携帯ゲーム機とAR(拡張現実)ゴーグルを通じ、外の凄惨なゾンビ地獄を「パパが作った極秘ステルスゲーム」へと書き換えたのだ。

ゴーグルの赤外線センサーを通じて、感染者の体温が『43.8℃以上』に異常上昇し、熱で水晶体のタンパク質が変性して視覚を失う代わりに「熱源と音」だけを追う生物学的特性を突き止めたノアは、8歳のレンを誘導して政府の『第4臨時安全避難所』へと辿り着く。

だが、そこを支配する『カテゴリーA(上級国民)』の黒沢知事たちは、レンから大切なゲーム機を奪い取り、「非常時に子供は存在しない」と笑いながら、8歳のレンを『カテゴリーD(廃棄労働力)』として地下4階の過酷なボイラー清掃へと送り込んだ。

しかし上級国民たちは知らなかった。
技術者がデータを初期化しようとゲーム機にケーブルを挿した瞬間、ノアが避難所のメインサーバーを0・02秒で完全掌握していたことを。

「プレイヤー・レン。第2ステージの我慢比べはクリアです。ここからは、私がこの城のすべてを動かします」

心優しいカテゴリーDの作業員たちと同盟を結んだAIによる、冷徹で完璧な『熱力学と閉鎖空間の害虫駆除』が今、始まる。

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