空想科学 連載中・全22話

圏外

ichthus 2026/03/28 公開 2026/05/20 01:23 更新

あらすじ

2130年代。 2080年代の「拡散(ディフュージョン)」と呼ばれる一連の事件により、核兵器・軍事AI・自律型兵器の製造技術がオープンソース化した。きっかけは特定の事件ではなく、技術の成熟と情報統制の限界による不可避的な帰結だった。3Dプリンティングが銃を民主化したように、あらゆる大量破壊技術が民主化された。
世界の層構造:
第一層「条約圏」 ── 比較的秩序を保つ国家群。日本、北欧連合、スイス、ニュージーランド、シンガポールなど。旧大国の一部地域も含む(カリフォルニア共和国、ブリティッシュコロンビアなど、旧国家が分裂した後の安定地域)。共通の条約体制で結ばれ、核使用の相互抑止と技術管理を維持。ただし「国家」の実態は様々で、企業統治に近いもの、直接民主制に移行したもの、AI補助統治のものなど。
第二層「灰色圏」 ── 複数の権力機構が併存する地域。名目上の政府はあるが実効支配が及ばない。武装組織、企業自治体、AI管理区域、宗教共同体が同じ都市の中で隣接している。旧中国沿海部、中東の一部、旧アメリカ南部・中西部、旧ロシア西部など。住民は日常的に「どの権力の下にいるか」を切り替えながら生活している。
第三層「圏外」 ── 実効的な統治が存在しない地域。核汚染地域、放棄された都市、自律型兵器が制御を離れて徘徊する地帯。人が住んでいないわけではなく、独自の生態系のような秩序(あるいは無秩序)の中で生きている人々がいる。
「秩序維持連合」(OMC: Order Maintenance Coalition) ── 条約圏の国々が共同で運営する組織。国連の後継ではなく、もっと実務的で泥臭い。主な任務は三つ。核物質の追跡と回収。暴走AIシステムの無力化。灰色圏における人道危機への介入。ただし各参加国の利害が常にぶつかり、内部の政治的駆け引きも激しい。
日本の位置: 島国の地理的利点と技術力により条約圏の主要メンバー。しかし「秩序を保っている」とは「問題がない」ということではなく、人口減少が極限まで進み、社会の多くがAI補助で運営されている。高齢者がAIとヒューマノイドに囲まれて静かに暮らす穏やかだが寂しい国。OMCへの人的貢献が求められるが、派遣できる若い人材が少ない。

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