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うちの猫 2026/08/20 公開 2026/09/28 19:45 更新
ダンジョン配信が世界中を熱狂させる時代。凄腕カメラマンの千歳薫は、駆け出しの冒険者を華々しいスターへと仕立て上げ、その戦いを誰よりも美しく、誰よりも刺激的に撮影することで莫大な金を稼いでいた。
だが、彼女たちが本当に狙っているのは冒険者の成功ではない。
病気の母を救うために命を懸ける少年も、夢を抱いてダンジョンへ挑む少女も、薫たちにとっては視聴者を熱狂させるための「商品」にすぎなかった。冒険者を人気者へ育て、視聴者に愛着を持たせ、そして最も絶望的な瞬間に死なせる。その最期を最高の“神アングル”で生配信することこそが、彼女たちの作り上げた最悪のビジネスだった。
薫もまた、人の死をレンズ越しに眺めながら、それを当然の仕事として受け入れていた。
しかし、偽りの優しさを演じ、何人もの冒険者と時間を過ごしていくうちに、彼女の中に少しずつ計算では説明できない感情が残り始める。
そしてある日、薫の前に現れたのは、彼女を心から慕う故郷の少女・澪だった。
いつもなら次の「最高のラストシーン」を考えるはずの薫が、その少女にだけは思ってしまう。
――この子だけは、死なせたくない。
けれど、人の命を金に変えてきた者たちが、そんな裏切りを許すはずもない。
仕組まれた罠の中で、薫は初めてカメラを向ける側ではなく、大切な誰かを救う側へと立たされる。
これは、人の最期を撮り続けてきた女が、たった一人の未来を守るために、自分が作り上げてきたすべてに刃を向ける物語。
そして最後に彼女のレンズへ映るのは、これまでで最高の悲劇なのか。それとも、誰も撮ったことのない奇跡なのか。
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