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中身無男 2026/07/25 公開 2026/07/25 19:01 更新
自分の葬儀で、私は空の棺の隣に座っていた。
これから葬られるのは、身体ではなく私の名前。
そして、読み上げられる弔辞は嘘だらけだった。
「訂正を」
家族を捨てたのではない。故郷で行われた母の葬儀への参列を、王家に許されなかったのだ。
王太子ジェラルとの婚約を破棄されたエルネは、生きたまま名前と身分を葬る「生葬」を命じられる。
王家に奪われた日々は、彼女が自ら望んだ献身として美しく書き換えられていた。
エルネは叫ばない。自分の人生に重ねられた嘘を、一つずつ事実へ戻していく。
その言葉を一字も削らず記録するのは、七年間、彼女の婚約誓約を書き取ってきた神殿書記ノア。
やがて王太子と次期妃候補は、罪のないエルネを死者にする本当の理由を、自らの声と署名によって公の記録へ残すことになる。
死者にされた令嬢が、自分の名前と生きる場所、そして言葉を待ってくれる人を選び直す物語。
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