ヒューマンドラマ 短編

婚約者は愛しの妹を庇い、燃え盛る炎の中で私は完全に見捨てられた

熾星 2026/08/30 公開 2026/08/30 16:00 更新

あらすじ


 七月七日。私は三年間付き合っている恋人の桐谷拓海と一緒に、大学時代、学生寮で同室だった森川奈緒の結婚式に出席していた。

 ブーケトスの時間になると、司会者が「今日は男女問わず、未婚の方ならどなたでも参加できます」と笑って声をかけた。友人たちに押し出された拓海も輪の中に入り、偶然ブーケを受け取った。

 周囲から歓声が上がり、みんなの視線が一斉に私へ向いた。私も、拓海がそのままブーケを渡してくれるのだと思っていた。

 ところが彼は私の前まで来ると、リボンをほどき、ひとつだったブーケを二つに分けた。

 先に差し出した相手は、妹の佐伯美羽だった。

 残った半分が、ようやく私の手に渡った。

 美羽は二つの花束を見比べ、大きさがほとんど同じだと確認してから満足そうに笑った。

「これならいいかな」

 拓海も笑う。

「お姉ちゃんにあげるもので、美羽の分がなかったことなんてないだろ?」

 私は半分になったブーケを見つめた。さっきまで感じていた期待は、もうどこにも残っていなかった。

 昔から、美羽が欲しがれば私は譲ることになっていた。部屋も、ペットも、進学の予定さえ同じだった。

 今では、私の恋人までそれを当然だと思っている。

「美羽は小さい頃に迷子になったことがあるから、置いていかれるのが怖いんだよ。真帆はお姉ちゃんなんだから、それくらい譲ってやって」

 私は手の中の半分のブーケを見下ろした。

 でもこれは最初から、全部私に渡されるはずだったものだ。

 もう、譲りたくなかった。

ポイント

総合ポイント 1,428
日間ポイント 0
日間ランクイン 4
最高順位 147
評価ポイント 1,37296.1% ブクマ×2 563.9%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

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7.89
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ブクマと評価ポイントの推移

10/26〜11/01(7日間)
ブクマ 28-2(7日間)
30 28 10/26 10/29 11/01
評価ポイント 1,372+20(7日間)
1,370 1,360 10/26 10/29 11/01

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/01 28 -1 1,372 ±0
10/31 29 ±0 1,372 ±0
10/30 29 ±0 1,372 +10
10/29 29 ±0 1,362 ±0
10/28 29 -1 1,362 ±0
10/27 30 ±0 1,362 +10
10/26 30 ±0 1,352 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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