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有田うさぎ 2020/06/05 公開 2020/07/30 14:19 更新
彼氏に求める九条件を決めている「私」。「私」は現在、ステージに立ってインディーズバンドとして活躍している元彼氏である「真名仁」に対して、憎しみの感情を燃やしている。なぜなら、彼氏に求める九条件のうち、彼は「私」が一番大事にしている、売れないバンドマン、という掟を破ったからである。
ある日「私」は池袋の路上ライブでクルーディストという、売れなさそうなバンドを見つける。演奏が終わり誰もクルーディストのCDを買わない中、一人彼らのCDを購入した「私」。ボーカル「真名仁」にCD代金を渡す際、自身の連絡先もこっそり忍ばせておいた。
次の日には「真名仁」から連絡があり、二人は付き合うようになった。売れないバンドで金もない、性欲しかない情けない彼を、「私」は愛してやまなかった。過去に他人から必要とされることに喜びを感じていた「私」は、彼にも同じ幸せを「私」で味わってもらいたかった。
付き合う中で「真名仁」は、「私」の彼氏に求める九条件を忠実に守った。平凡な彼との日常に「私」はとても満足していた。
付き合って二年目の冬に、クルーディストにインディーズデビューの話が持ち上がる。「私」は彼に喰い下がったが、「私」より「インディーズデビュー」の方が大事な「真名仁」は、「私」を見捨て、同棲したアパートから立ち去ってしまう。
二年が経ち、今でも「私」はインディーズとしてライブハウスのステージに立っているクルーディストを欠かさずみに行っている。インディーズデビュー程度がちょうどよいと開き直る「私」だったが、「真名仁」との何でもない日常を思い返すと、またあの日のように一緒にいたいという気持ちが強くなる。
今日も変わらずインディーズデビューした「真名仁」に憎しみの感情をぶつけている「私」は、いつまでたっても寂しい女だった。
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