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久世 律 2026/11/06 公開 2026/11/06 20:00 更新
婚約破棄を告げられた日、エレノア・ベルクールが最初に考えたのは、帰りの馬車の手配だった。
王太子の婚約者として過ごしてきた日々は終わった。
家に戻っても居場所はない。そんな彼女が見つけた仕事は、王宮の片隅にある「未処理礼状整理室」の職員だった。
そこには、宛先が分からなくなったもの、届ける機会を失ったもの、返事のないまま何年も眠っていたもの――さまざまなお礼状が集められている。
手紙に記された言葉と、書かれなかった言葉。
エレノアはそれらを読み解き、差出人と受取人を探し、届かなかった感謝を届けていく。
一通の手紙が、忘れられていた誰かの記憶を呼び起こす。
そして、ある古い手紙は、彼女自身の知らなかった母の姿を教えてくれた。
これは、王宮の片隅で手紙を届ける一人の女性が、少しずつ自分の居場所を見つけていく物語。
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