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rururu-nn 2026/10/27 公開 2026/10/30 21:00 更新
半額のシールを剥がす手もとだけを映す、深夜の無言配信「半額ナイト」。同接は六。
高校生のミラは、一言もしゃべらない。毎晩届く『こんばんは』にも、四百十二回、返事をしたことがない。言わなければ、何も壊れないから。
「お前についてきてんだから、お前が決めろ」
隣の席のニルに押しつけられて、ミラは影の黒猫に名前をつけた。クロ。
それが、自分で選んだ最初のひとつだった。
けれど、ミラが怖がるたびにクロは大きくなり、まわりで人が消えていく。消したのが誰なのかを、ミラは知っている。
言うか、黙るか。一つ選ぶたびに、次の一つが重くなる。山の家へ、海の島へと逃げた先で、少し遅れて鳴る二つ目の心臓の奥から、三千年、数を数えていた船頭の娘レイが、ミラの身体で目を覚ます。
「借りたものは、返す」
レイは、持ち主の代わりには選ばない。伏せた写真立ても、届いた包みも、『こんばんは』の返事も、あの子のものだから。
そのかわり、自分の分は自分で選ぶ。友だちの前に立つことも、ミラの名前で交流戦に出ることも、海の底まで迎えに行くことも。
そう決めていたのに、返す日が近づくほど、この身体で生きていたくなる。
返すか、残るか。
黙ることで何もかも守ろうとした少女と、三千年ぶりに朝を迎えた少女。
一つの身体を分け合った二人が、それぞれ自分で選んで、最後に五文字を打つまでの物語。
日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。
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