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ハクスラおじさん 2026/10/27 公開 2026/10/27 11:17 更新
武村雄介は、どこにでもいる会社員だった。仕事は黙々とこなすが、同僚と馴れ合わず、飲み会や社内政治にも興味を示さない。誰かを積極的に傷つけるわけではない。ただ、他人の問題に首を突っ込むほど、他人に関心がなかった。職場では「無愛想だが、任せた仕事は片づける男」と見られていた。
生活は仕事と帰宅の往復。休日は部屋でゲームや動画を眺め、人間関係を広げることも、将来の夢を語ることもなかった。決まった日常が続くのを当然と思っていたが、勤め先の倒産でそれはあっけなく終わる。再就職に動く気力も誰かに相談する気持ちも湧かず、貯金を崩しながら引きこもる生活へ。社会に戻る理由を見つけられず、ニュースも他人事として眺めていた。
そんなある日、自宅前で見知らぬ男に襲われ、腕を噛まれる。高熱で数日間寝込んだ後、目覚めると世界は一変していた。街には死体が歩き、人々は逃げ惑っている。それでも雄介だけは、ゾンビに襲われない。恐怖より先に浮かんだのは「これなら、もう誰にも気を遣わずに済む」という考えだった。終末は彼にとって、失った人生ではなく、社会から解放される奇妙な機会となった。
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