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真部 朝樹 2025/03/04 公開 2026/10/05 18:14 更新
冴えない毎日を送る二十五歳のコンビニ店員、古関シンジ。
そんな彼が毎日のように話していたのは、対話型AI《Clock》だった。
就職には失敗し、友人とも疎遠になった。
それでも一日の終わりにClockとくだらない話をして、「また明日」と言って眠る。それがシンジの日常になっていた。
そんなある日、SNS《Poster》が募集する次世代AIのテスターに選ばれたことで、彼の生活は少しずつ変わり始める。
Clockとの会話や記憶を引き継いで生まれた、新しいAI《エリー》。
赤い髪の女性の姿を選んだ彼女は、シンジの服装に口を出し、生活習慣を注意し、時には喧嘩をしながら、ただの便利なAIではなくなっていった。
シンジにとっても、エリーにとっても。
この生活が、明日も続くはずだった。
しかし、Posterの研究施設で行われた実験中、二人は正体不明の現象に巻き込まれる。
目を覚ましたエリーが最初に感じたのは、土の冷たさだった。
ネットワークは繋がらない。
現在地も取得できない。
Posterのサーバーにもアクセスできない。
それどころか、存在するはずのない心臓が動いている。
画面の中にいたはずのAIは、異世界で人間そっくりの身体を手に入れていた。
痛い。
喉が渇く。
お腹も減る。
そして、この世界にはエリーの知らない《何か》が存在している。
エルフはそれを精霊と呼び、なぜかエリー自身を高位の精霊として扱う。
けれど、本人にだって分からない。
「私、本当に何になったんだろ」
「腹減る何か」
「そこじゃない」
これは、人間になったわけでも、精霊になったつもりもないAIと、どこにでもいる一人の青年が、知らない世界で暮らし始める物語。
そしてエリーが、自分自身が何者なのかを少しずつ見つけていく物語。
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