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わかめ 2026/10/12 公開 2026/10/19 00:00 更新
この世には、欠けた文字を姓として受け継ぐ一族がいる。
それは誤字でも、書き損じでもない。
戸籍にも記され、代々受け継がれてきた、正真正銘の名字だ。
「月成」と書いて「つきしろ」。
そこに「土」が加われば、「月城」となる。
古くから、こうした名字は《欠字》と呼ばれてきた。
欠けた文字は、人の生き方によって意味を得る。
そして、名が成るとき、その身には常識を超えた力――《異能》が宿ることがあるという。
欠字の一族の中でも、長い歴史を持つ五つの家。
その一つ、月成家に生まれた|月成千景《つきしろちかげ》は、異能を発現させた高校二年生。
古いしきたりよりも自分の意思を大切にする彼女は、ある事件をきっかけに、竟宮家の|竟宮律《かがみやりつ》と行動を共にすることになる。
律は冷静で頭脳明晰な高校三年生。
名家の生まれでありながら、彼自身には異能が発現していない。
性格も、考え方も、異能の有無さえ異なる二人。
彼らが出会うのは、欠字の一族が関わる不可思議な事件と、文字に刻まれた人々の生き様。
人を救う力もあれば、人を殺める力もある。
同じ異能であっても、その使い道を決めるのは人間自身だ。
名は体を表すという。
ならば、欠けた文字が完成したとき、人もまた完成するのだろうか。
古より受け継がれた欠字の因縁と、現代を生きる人々の選択を描く、現代伝奇譚。
『欠字異聞』
※本作品は、他サイトにも掲載します。
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