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夢見ルコ 2026/10/09 公開 2026/10/09 14:10 更新
大鳴門橋の下で荒れ狂う激流。
徳島県警捜査一課の女性刑事・鳳条佳月(ほうじょう かづき)は、眼下の白波を見下ろしながら、隣に立つ男へ冷ややかな視線を向けていた。
男の名は今湊健介(いまみなと けんすけ)。
全国の地理と交通網を熟知する旅行ライターであり、かつてすれ違いの果てに破局した佳月の元恋人だ。
淡路島の美術館で起きた高額絵画の盗難事件。
容疑者である地元の美術商には「犯行時刻のわずか5分後、鳴門の渦潮観覧船の上にいた」という、動画付きの完璧なアリバイが存在していた。
現場から乗り場まではどう足掻いても車で30分。
物理的に不可能な移動時間を前に捜査が難航する中、佳月は背に腹は代えられず、健介の雑学と観察力に頼ることを決意する。
二人は事件の足跡を辿り、徳島から淡路島への観光ルートを巡り始める。
潮の干満差がもたらす激流の向き、そして大鳴門橋を駆け抜ける高速バスの時刻表——。
健介の鮮やかな推理によって、自然の営みを利用した「二重のアリバイ」の崩壊が始まるとき、頑なだった佳月の心と、止まっていた二人の時間もまた、静かに動き出していく。
旅と謎解きが交錯する、大人のやり直しミステリー。
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