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深海周二 2026/11/05 公開 2026/11/05 22:00 更新
異世界ものの主人公は、なぜスローライフをめざすのか。
異世界に転生した主人公は、魔物を倒して名を上げることも、王に仕えて出世することもできる。それなのに、少なからぬ主人公が、辺境の村で畑を耕してのんびり暮らすことを選ぶ。小説家になろうで、タイトル・あらすじ・キーワードに「スローライフ」と書いた異世界作品は4,502作。逆向きの「成り上がり」と書いた異世界作品は4,491作で、差はわずか11作である。
ところが、なろうの全作品で見ると、「成り上がり」を書いた作品の過半数には異世界のタグが付いていない。成り上がりは異世界がなくても書けるが、スローライフは異世界でなければほとんど書かれていない。会社を辞めて田舎で畑を耕すだけなら、転生も魔法も要らないはずなのに。
本連載は、なろう小説APIで約16万4千作の異世界作品を数える。130年ほど前に自殺を件数で比べた社会学者デュルケームに倣い、主人公の前世の働き方と境遇を数え、スローライフの作品が急に増えた2018年を調べる。最後は、120年ほど前に東京郊外で百姓暮らしを始めた文学者、徳冨蘆花の時代と、いまのなろうを比べる。
全9回。統計や社会学の予備知識は前提にしない。
※件数は2026年11月3日・4日に取得した値。
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